No.12
テキスト形式で公開出来るかの確認もかねて。
#ヤンパリ 風のゲームの中の怪異イドが現実に出てアズと暮らす話。
ゲームプレイ編。
アズールがそのゲームを買ったのは発売から半年ほど経った頃だった。
旅に出た少年がモンスターを捕まえて強くしていき、バトルをしながらストーリーを進めるというタイプのもので、それ自体は最初にかなり話題になったゲームが先に出ていた、いわゆる後追いタイプのものだった。
それでも、それは教室の子供達が持って遊んでいたし、交換も盛んだった。
猛勉強していた最中のアズールでも少し気になって、誕生日のプレゼントで母にお願いして買って貰ったのだ。
その日の勉強を終え、寝る前の時間に少しだけやろうと、アズールはようやっとパッケージを開けた。
ゲームの電源を入れ、オープニングムービーに水の中を泳いでいる長い尾びれ、やけに鮮明なくるくるとイルカなどの鳴き声が聞こえてから、ぱっと名前の入力欄が表示された。
「えっと、名前……」
名前を入れ、キャラクターの顔を何となく自分の顔に似せて作ってから、アズールはクラスメイトの会話から聞こえてきた、自分の部屋からスタートするのを待った。
名前とキャラクター設定が完了すると、画面が一瞬ぶつん、と音がして、真っ暗になると、波の音が聞こえてきた。
ゆっくりと画面が明るくなり、ゆらゆらとどうやら水の中らしい描写と水の音がして、メッセージが表示される画面に文字がカタカタと浮かんでくる。
「やっとみつけた」
ばつ、と再び画面が黒くなり、アズールは何だったんだろうと眺めていると、浜辺に自分のキャラクターが立っている場面に切り替わっていた。
操作をしようとすると、再びやけにリアルなくるくる、きゅーという音が聞こえてきて、アズールは海の方に近づいた。自らからだを半分出した小さな生き物が二匹、ぴたんぴたんとその場でやけに元気に跳ねていた。
――これに声をかけると良いのかな?
アズールはなんだか聞いていた内容と違うな、と頸を傾げつつ、その場でぴょんぴょん跳びはねている二匹のモンスターに近づいた。
「アズール!」
「待ってたんですよ! さあ、行きましょう!」
モンスターはそう言って、アズールのキャラクターにすり寄り、持っていた鞄の中に潜り込んだ。
「でんせつの モンスターを げっとしました」
画面にテロップが浮かび、図鑑に妙な文字化けされたページが追加されたのに気付いた。そうして、それが良く見ると、パッケージに書かれているモンスターである事に気付いたのだ。
「あれ?」
アズールは、このパッケージのモンスターについては少しだけ聞いたことがあるのだ。
確か。
最初に出たシンボル的なゲームが出てからというもの、この手のモンスターと人間が一緒に冒険する、とかモンスターの育成系ゲームはいくつも出ていた。
そんな中で、このゲームは少し違った意味で話題になっていた、という話だ。確か、ニュースでも少しだけ取り上げられていた気がする。
それが、パッケージに書かれているモンスターが全く入手出来ない、というものだ。
でてくると言えば出てくるが、他の同系統のゲームのようにイベントで確保出来るというわけでも無く、ランダムにマップに
現れて大暴れして去って行く、とか、海の中に引きずり込まれて所持品を落としたことになったとか、いわゆるクソゲーのよう
な事が起きるのだ。
決められた手順を踏んで行けば手に入るとか、チーター向けのソフトにしかいないとか、そう言う話も聞いた気がした。
アズールは、もしかして何か違う物を買ってしまっただろうかと、パッケージを見たが、正真正銘ちゃんとした店で買った本物である。
アズールは、まあ良いかと再び画面に向き直り、自分のキャラクター越しに辺りを見渡した。
面白い事に、リュックの中に収まっている二匹のモンスターは、主人公が前を向いている状態だと、リュックから時折頭を出して画面越しのアズールを見ているかのように視線が動き、時々手を振るような仕草をしていた。
「まずは となりのまちへ いってみるといいですよ」
「はやくいこー」
地図に目的地が表示され、アズールはマークを見ながらキャラクターを動かし始め、あ、と気付いて顔を上げた。
「えーっと」
メニューを開いてここまでの出来事を記録する、としたアズールは、電源を切って急いでベッドに横になった。何しろ気が付いたら寝る時間を少しばかり過ぎていたのだ。母にバレたらゲームを取り上げられてしまうだろう。
危なかった、と毛布の中に潜り込んで目を閉じる。
うつらうつらしているアズールの耳元で、なぜか波の音が付かず離れず聞こえてくるようだった。
++++++++++++
夢の中で覚えていないけどリュックに伝説モンスターを入れて走り回るチビアズがいる。
畳む
#ヤンパリ 風のゲームの中の怪異イドが現実に出てアズと暮らす話。
ゲームプレイ編。
アズールがそのゲームを買ったのは発売から半年ほど経った頃だった。
旅に出た少年がモンスターを捕まえて強くしていき、バトルをしながらストーリーを進めるというタイプのもので、それ自体は最初にかなり話題になったゲームが先に出ていた、いわゆる後追いタイプのものだった。
それでも、それは教室の子供達が持って遊んでいたし、交換も盛んだった。
猛勉強していた最中のアズールでも少し気になって、誕生日のプレゼントで母にお願いして買って貰ったのだ。
その日の勉強を終え、寝る前の時間に少しだけやろうと、アズールはようやっとパッケージを開けた。
ゲームの電源を入れ、オープニングムービーに水の中を泳いでいる長い尾びれ、やけに鮮明なくるくるとイルカなどの鳴き声が聞こえてから、ぱっと名前の入力欄が表示された。
「えっと、名前……」
名前を入れ、キャラクターの顔を何となく自分の顔に似せて作ってから、アズールはクラスメイトの会話から聞こえてきた、自分の部屋からスタートするのを待った。
名前とキャラクター設定が完了すると、画面が一瞬ぶつん、と音がして、真っ暗になると、波の音が聞こえてきた。
ゆっくりと画面が明るくなり、ゆらゆらとどうやら水の中らしい描写と水の音がして、メッセージが表示される画面に文字がカタカタと浮かんでくる。
「やっとみつけた」
ばつ、と再び画面が黒くなり、アズールは何だったんだろうと眺めていると、浜辺に自分のキャラクターが立っている場面に切り替わっていた。
操作をしようとすると、再びやけにリアルなくるくる、きゅーという音が聞こえてきて、アズールは海の方に近づいた。自らからだを半分出した小さな生き物が二匹、ぴたんぴたんとその場でやけに元気に跳ねていた。
――これに声をかけると良いのかな?
アズールはなんだか聞いていた内容と違うな、と頸を傾げつつ、その場でぴょんぴょん跳びはねている二匹のモンスターに近づいた。
「アズール!」
「待ってたんですよ! さあ、行きましょう!」
モンスターはそう言って、アズールのキャラクターにすり寄り、持っていた鞄の中に潜り込んだ。
「でんせつの モンスターを げっとしました」
画面にテロップが浮かび、図鑑に妙な文字化けされたページが追加されたのに気付いた。そうして、それが良く見ると、パッケージに書かれているモンスターである事に気付いたのだ。
「あれ?」
アズールは、このパッケージのモンスターについては少しだけ聞いたことがあるのだ。
確か。
最初に出たシンボル的なゲームが出てからというもの、この手のモンスターと人間が一緒に冒険する、とかモンスターの育成系ゲームはいくつも出ていた。
そんな中で、このゲームは少し違った意味で話題になっていた、という話だ。確か、ニュースでも少しだけ取り上げられていた気がする。
それが、パッケージに書かれているモンスターが全く入手出来ない、というものだ。
でてくると言えば出てくるが、他の同系統のゲームのようにイベントで確保出来るというわけでも無く、ランダムにマップに
現れて大暴れして去って行く、とか、海の中に引きずり込まれて所持品を落としたことになったとか、いわゆるクソゲーのよう
な事が起きるのだ。
決められた手順を踏んで行けば手に入るとか、チーター向けのソフトにしかいないとか、そう言う話も聞いた気がした。
アズールは、もしかして何か違う物を買ってしまっただろうかと、パッケージを見たが、正真正銘ちゃんとした店で買った本物である。
アズールは、まあ良いかと再び画面に向き直り、自分のキャラクター越しに辺りを見渡した。
面白い事に、リュックの中に収まっている二匹のモンスターは、主人公が前を向いている状態だと、リュックから時折頭を出して画面越しのアズールを見ているかのように視線が動き、時々手を振るような仕草をしていた。
「まずは となりのまちへ いってみるといいですよ」
「はやくいこー」
地図に目的地が表示され、アズールはマークを見ながらキャラクターを動かし始め、あ、と気付いて顔を上げた。
「えーっと」
メニューを開いてここまでの出来事を記録する、としたアズールは、電源を切って急いでベッドに横になった。何しろ気が付いたら寝る時間を少しばかり過ぎていたのだ。母にバレたらゲームを取り上げられてしまうだろう。
危なかった、と毛布の中に潜り込んで目を閉じる。
うつらうつらしているアズールの耳元で、なぜか波の音が付かず離れず聞こえてくるようだった。
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夢の中で覚えていないけどリュックに伝説モンスターを入れて走り回るチビアズがいる。
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