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#ヤンパリ 風なゲーム世界のモンスターイドとアズのかわいいお話。ゲームプレイ編2
書いていれば具現化するかもしれないという欲
ピクニックとモンスター
「なあ、あのモンスター手に入った?」
「ああ、あれ?」
――あ
耳に飛び込んできた声に、アズールは思わず視線をさまよわせた。
放課後の廊下で、知っているような、知らないような声が盛んにゲームの攻略について会話をしているようだ。立ち止まって振り返ってみるが、固まって歩いている子供達の中、誰がその話をしているかは分からなかった。
そもそも、声をかけたところでアズールとまともに会話などしてくれるか。
「……」
そこまで思い至り、アズールは前を向いて歩き出した。
家に帰り、アズールはいつものように帰ってすぐの宿題と勉強をして、母が用意していった夕食を温めて食べ、一人でシャワーを浴びて部屋に戻った。
静かな家の中を歩き、自分の部屋に戻ってアズールはゲーム機に手を伸ばした。
この間のテストの成績もそこそこ良くなってきていたおかげか、わずかに自信がついたアズールは、ちょっとだけなら大丈夫だろうと時計を見ながら、昨日の続きから始めようと画面を開いた。
――えーっと、昨日は確か……
アズールはセーブを呼び出し、昨日の続きから始めることにした。
画面には街へと移動する為の街道と、そのすぐ脇にある休憩ポイントが見えた。ここでチュートリアルを聞いてセーブをしたのだったか。アズールは思い出して、キャラクターを操作して歩き出した。
「あ、アズール帰ってきたー」
「おそーい」
閉じられたリュックの蓋が勢いよく開いて、ぽんとボールから出る効果音と共に二匹のモンスターがアズールの前に現れた。
魚とは少し違う尾びれに、そっくりな見た目の二匹だったが、最近よく見ているせいか二匹の違いがよくわかってきた。
「おなかがすきました」
つるりとしたおなかを押さえ、ぎゅうぎゅうとアピールをしてくるのは、少しばかりつり目のモンスターで、何故か既に名前が付いていた。
「ジェイドは食いしん坊ですね」
「ぎゅう」
「ねえねえ早くー」
しょぼくれたジェイドの脇で、ジェイドと似た、こちらは垂れ目のモンスターがぴょんぴょんとアズールの周りを跳ね回り早く早くと急き立てる。
「フロイド、ちょっと待ってください。少し先でピクニックをしましょう」
アズールがそう言って走り出すと、二匹は後を追ってどういう理屈かぴょんぴょんと跳ねてアズールの後を付いてきた。
マップにはいくつか他のモンスターの影が見え、アズールは今度こそどれか捕まえようかなと捕獲用のアイテムの数を確認した。
「おらどけ!」
「邪魔ですよ」
「え」
ばしんばちんと勝手に二匹のモンスターがマップ上で動き回る他のモンスターに飛びかかり、アイテムがボロボロと落ちていく、ついでに経験値もどんどん溜っていき、少し走るだけであっという間に二匹のレベルが三回ほど上がってファンファーレが鳴り響いた。
「あー! またモンスター全部いなくなった!」
思わず叫んだアズールに、何故か二匹はその場にコロリと転がり、何のこと? というようにぴちぴちと尾びれを振った。
「ぎゅー?」
「くるー?」
画面の向こうの二匹に、アズールはため息をついてもう一度説明所に目を通した。
「はあ……」
何度読んでもオートバトルの設定は切っているはずなのに、何故か二匹は勝手に飛び出していってマップに存在するモンスターを全てなぎ倒してしまう。
これでは別のモンスターを捕まえる事は無理ではないだろうか。
新しいモンスターがいれば通信交換という手もあるが、二匹のどちらかを手放すというのはいやだった。
「まあいいや」
しょうが無いとアズールはレベルがどんどん上がっていく二匹を眺め、先にさっさと進めるか、と街道を道なりに進んで少し開けた場所に移動した。
ここなら良いだろうと、メニューを開いてピクニック道具を展開する。
まだあまりカスタマイズはしていないが、好きな色と、二匹のカラーに合わせたカップや皿が並び、おやつを作るミニゲームをしようとテーブルに立ったアズールの両脇に、顔を出した。
コミカルな音楽と共に具材を並べて慎重にデコレーションをして完成させると、二匹がぴょんぴょんと両手を叩いて喜び、ガツガツと食べ始める。
「えーっと、ピクニックではなつき度が上がるんだっけ」
アズールが眺めていると、おやつを食べ終えた二匹はぽわぽわとハートマークが飛び、画面に向かってぴょんぴょん跳ね飛び手を振った。
「ふふ」
思わず笑みを浮かべたアズールは、ちかちかと通信が光り、誰かが一緒にピクニックをしようと申請をしてきたのに気付いた。何しろ初めてのことだったアズールは、慌てて説明所に目を通そうとして画面から目を一瞬離した。
「えーっと、ピクニックを一緒にする場合は……?」
ぴこん、と音がして、何だろうと視線を戻すと、先ほどまで機嫌が良かった二匹がくったりと地面に伸びて不満そうな顔でピクニックに誘ってきたどこかのプレイヤーを眺めていた。
なつき度が低いとそういう事もあるのだろうか。
シャーシャーぐるるると威嚇する二匹に、アズールはうーんと困って思わず申請を断るボタンを押し、ため息をついた。どこかのプレイヤーのアイコンがぱっと消えると、二匹は再び機嫌良く飛び跳ね、アズールのキャラの周りをくるくると走り始めた。
「ボール遊びする?」
アイテム欄からボールを取り出すと、二匹はきゅうきゅうと両手を叩いて喜び、アズールはわずかにほっとしてボールを放り投げた。
ぽてぽてと取りにいって戻ってくる二匹を眺め、アズールはこのゲームってこういうものだっけ? と首を傾げていた。
畳む
書いていれば具現化するかもしれないという欲
ピクニックとモンスター
「なあ、あのモンスター手に入った?」
「ああ、あれ?」
――あ
耳に飛び込んできた声に、アズールは思わず視線をさまよわせた。
放課後の廊下で、知っているような、知らないような声が盛んにゲームの攻略について会話をしているようだ。立ち止まって振り返ってみるが、固まって歩いている子供達の中、誰がその話をしているかは分からなかった。
そもそも、声をかけたところでアズールとまともに会話などしてくれるか。
「……」
そこまで思い至り、アズールは前を向いて歩き出した。
家に帰り、アズールはいつものように帰ってすぐの宿題と勉強をして、母が用意していった夕食を温めて食べ、一人でシャワーを浴びて部屋に戻った。
静かな家の中を歩き、自分の部屋に戻ってアズールはゲーム機に手を伸ばした。
この間のテストの成績もそこそこ良くなってきていたおかげか、わずかに自信がついたアズールは、ちょっとだけなら大丈夫だろうと時計を見ながら、昨日の続きから始めようと画面を開いた。
――えーっと、昨日は確か……
アズールはセーブを呼び出し、昨日の続きから始めることにした。
画面には街へと移動する為の街道と、そのすぐ脇にある休憩ポイントが見えた。ここでチュートリアルを聞いてセーブをしたのだったか。アズールは思い出して、キャラクターを操作して歩き出した。
「あ、アズール帰ってきたー」
「おそーい」
閉じられたリュックの蓋が勢いよく開いて、ぽんとボールから出る効果音と共に二匹のモンスターがアズールの前に現れた。
魚とは少し違う尾びれに、そっくりな見た目の二匹だったが、最近よく見ているせいか二匹の違いがよくわかってきた。
「おなかがすきました」
つるりとしたおなかを押さえ、ぎゅうぎゅうとアピールをしてくるのは、少しばかりつり目のモンスターで、何故か既に名前が付いていた。
「ジェイドは食いしん坊ですね」
「ぎゅう」
「ねえねえ早くー」
しょぼくれたジェイドの脇で、ジェイドと似た、こちらは垂れ目のモンスターがぴょんぴょんとアズールの周りを跳ね回り早く早くと急き立てる。
「フロイド、ちょっと待ってください。少し先でピクニックをしましょう」
アズールがそう言って走り出すと、二匹は後を追ってどういう理屈かぴょんぴょんと跳ねてアズールの後を付いてきた。
マップにはいくつか他のモンスターの影が見え、アズールは今度こそどれか捕まえようかなと捕獲用のアイテムの数を確認した。
「おらどけ!」
「邪魔ですよ」
「え」
ばしんばちんと勝手に二匹のモンスターがマップ上で動き回る他のモンスターに飛びかかり、アイテムがボロボロと落ちていく、ついでに経験値もどんどん溜っていき、少し走るだけであっという間に二匹のレベルが三回ほど上がってファンファーレが鳴り響いた。
「あー! またモンスター全部いなくなった!」
思わず叫んだアズールに、何故か二匹はその場にコロリと転がり、何のこと? というようにぴちぴちと尾びれを振った。
「ぎゅー?」
「くるー?」
画面の向こうの二匹に、アズールはため息をついてもう一度説明所に目を通した。
「はあ……」
何度読んでもオートバトルの設定は切っているはずなのに、何故か二匹は勝手に飛び出していってマップに存在するモンスターを全てなぎ倒してしまう。
これでは別のモンスターを捕まえる事は無理ではないだろうか。
新しいモンスターがいれば通信交換という手もあるが、二匹のどちらかを手放すというのはいやだった。
「まあいいや」
しょうが無いとアズールはレベルがどんどん上がっていく二匹を眺め、先にさっさと進めるか、と街道を道なりに進んで少し開けた場所に移動した。
ここなら良いだろうと、メニューを開いてピクニック道具を展開する。
まだあまりカスタマイズはしていないが、好きな色と、二匹のカラーに合わせたカップや皿が並び、おやつを作るミニゲームをしようとテーブルに立ったアズールの両脇に、顔を出した。
コミカルな音楽と共に具材を並べて慎重にデコレーションをして完成させると、二匹がぴょんぴょんと両手を叩いて喜び、ガツガツと食べ始める。
「えーっと、ピクニックではなつき度が上がるんだっけ」
アズールが眺めていると、おやつを食べ終えた二匹はぽわぽわとハートマークが飛び、画面に向かってぴょんぴょん跳ね飛び手を振った。
「ふふ」
思わず笑みを浮かべたアズールは、ちかちかと通信が光り、誰かが一緒にピクニックをしようと申請をしてきたのに気付いた。何しろ初めてのことだったアズールは、慌てて説明所に目を通そうとして画面から目を一瞬離した。
「えーっと、ピクニックを一緒にする場合は……?」
ぴこん、と音がして、何だろうと視線を戻すと、先ほどまで機嫌が良かった二匹がくったりと地面に伸びて不満そうな顔でピクニックに誘ってきたどこかのプレイヤーを眺めていた。
なつき度が低いとそういう事もあるのだろうか。
シャーシャーぐるるると威嚇する二匹に、アズールはうーんと困って思わず申請を断るボタンを押し、ため息をついた。どこかのプレイヤーのアイコンがぱっと消えると、二匹は再び機嫌良く飛び跳ね、アズールのキャラの周りをくるくると走り始めた。
「ボール遊びする?」
アイテム欄からボールを取り出すと、二匹はきゅうきゅうと両手を叩いて喜び、アズールはわずかにほっとしてボールを放り投げた。
ぽてぽてと取りにいって戻ってくる二匹を眺め、アズールはこのゲームってこういうものだっけ? と首を傾げていた。
畳む
テキスト形式で公開出来るかの確認もかねて。
#ヤンパリ 風のゲームの中の怪異イドが現実に出てアズと暮らす話。
ゲームプレイ編。
アズールがそのゲームを買ったのは発売から半年ほど経った頃だった。
旅に出た少年がモンスターを捕まえて強くしていき、バトルをしながらストーリーを進めるというタイプのもので、それ自体は最初にかなり話題になったゲームが先に出ていた、いわゆる後追いタイプのものだった。
それでも、それは教室の子供達が持って遊んでいたし、交換も盛んだった。
猛勉強していた最中のアズールでも少し気になって、誕生日のプレゼントで母にお願いして買って貰ったのだ。
その日の勉強を終え、寝る前の時間に少しだけやろうと、アズールはようやっとパッケージを開けた。
ゲームの電源を入れ、オープニングムービーに水の中を泳いでいる長い尾びれ、やけに鮮明なくるくるとイルカなどの鳴き声が聞こえてから、ぱっと名前の入力欄が表示された。
「えっと、名前……」
名前を入れ、キャラクターの顔を何となく自分の顔に似せて作ってから、アズールはクラスメイトの会話から聞こえてきた、自分の部屋からスタートするのを待った。
名前とキャラクター設定が完了すると、画面が一瞬ぶつん、と音がして、真っ暗になると、波の音が聞こえてきた。
ゆっくりと画面が明るくなり、ゆらゆらとどうやら水の中らしい描写と水の音がして、メッセージが表示される画面に文字がカタカタと浮かんでくる。
「やっとみつけた」
ばつ、と再び画面が黒くなり、アズールは何だったんだろうと眺めていると、浜辺に自分のキャラクターが立っている場面に切り替わっていた。
操作をしようとすると、再びやけにリアルなくるくる、きゅーという音が聞こえてきて、アズールは海の方に近づいた。自らからだを半分出した小さな生き物が二匹、ぴたんぴたんとその場でやけに元気に跳ねていた。
――これに声をかけると良いのかな?
アズールはなんだか聞いていた内容と違うな、と頸を傾げつつ、その場でぴょんぴょん跳びはねている二匹のモンスターに近づいた。
「アズール!」
「待ってたんですよ! さあ、行きましょう!」
モンスターはそう言って、アズールのキャラクターにすり寄り、持っていた鞄の中に潜り込んだ。
「でんせつの モンスターを げっとしました」
画面にテロップが浮かび、図鑑に妙な文字化けされたページが追加されたのに気付いた。そうして、それが良く見ると、パッケージに書かれているモンスターである事に気付いたのだ。
「あれ?」
アズールは、このパッケージのモンスターについては少しだけ聞いたことがあるのだ。
確か。
最初に出たシンボル的なゲームが出てからというもの、この手のモンスターと人間が一緒に冒険する、とかモンスターの育成系ゲームはいくつも出ていた。
そんな中で、このゲームは少し違った意味で話題になっていた、という話だ。確か、ニュースでも少しだけ取り上げられていた気がする。
それが、パッケージに書かれているモンスターが全く入手出来ない、というものだ。
でてくると言えば出てくるが、他の同系統のゲームのようにイベントで確保出来るというわけでも無く、ランダムにマップに
現れて大暴れして去って行く、とか、海の中に引きずり込まれて所持品を落としたことになったとか、いわゆるクソゲーのよう
な事が起きるのだ。
決められた手順を踏んで行けば手に入るとか、チーター向けのソフトにしかいないとか、そう言う話も聞いた気がした。
アズールは、もしかして何か違う物を買ってしまっただろうかと、パッケージを見たが、正真正銘ちゃんとした店で買った本物である。
アズールは、まあ良いかと再び画面に向き直り、自分のキャラクター越しに辺りを見渡した。
面白い事に、リュックの中に収まっている二匹のモンスターは、主人公が前を向いている状態だと、リュックから時折頭を出して画面越しのアズールを見ているかのように視線が動き、時々手を振るような仕草をしていた。
「まずは となりのまちへ いってみるといいですよ」
「はやくいこー」
地図に目的地が表示され、アズールはマークを見ながらキャラクターを動かし始め、あ、と気付いて顔を上げた。
「えーっと」
メニューを開いてここまでの出来事を記録する、としたアズールは、電源を切って急いでベッドに横になった。何しろ気が付いたら寝る時間を少しばかり過ぎていたのだ。母にバレたらゲームを取り上げられてしまうだろう。
危なかった、と毛布の中に潜り込んで目を閉じる。
うつらうつらしているアズールの耳元で、なぜか波の音が付かず離れず聞こえてくるようだった。
++++++++++++
夢の中で覚えていないけどリュックに伝説モンスターを入れて走り回るチビアズがいる。
畳む
#ヤンパリ 風のゲームの中の怪異イドが現実に出てアズと暮らす話。
ゲームプレイ編。
アズールがそのゲームを買ったのは発売から半年ほど経った頃だった。
旅に出た少年がモンスターを捕まえて強くしていき、バトルをしながらストーリーを進めるというタイプのもので、それ自体は最初にかなり話題になったゲームが先に出ていた、いわゆる後追いタイプのものだった。
それでも、それは教室の子供達が持って遊んでいたし、交換も盛んだった。
猛勉強していた最中のアズールでも少し気になって、誕生日のプレゼントで母にお願いして買って貰ったのだ。
その日の勉強を終え、寝る前の時間に少しだけやろうと、アズールはようやっとパッケージを開けた。
ゲームの電源を入れ、オープニングムービーに水の中を泳いでいる長い尾びれ、やけに鮮明なくるくるとイルカなどの鳴き声が聞こえてから、ぱっと名前の入力欄が表示された。
「えっと、名前……」
名前を入れ、キャラクターの顔を何となく自分の顔に似せて作ってから、アズールはクラスメイトの会話から聞こえてきた、自分の部屋からスタートするのを待った。
名前とキャラクター設定が完了すると、画面が一瞬ぶつん、と音がして、真っ暗になると、波の音が聞こえてきた。
ゆっくりと画面が明るくなり、ゆらゆらとどうやら水の中らしい描写と水の音がして、メッセージが表示される画面に文字がカタカタと浮かんでくる。
「やっとみつけた」
ばつ、と再び画面が黒くなり、アズールは何だったんだろうと眺めていると、浜辺に自分のキャラクターが立っている場面に切り替わっていた。
操作をしようとすると、再びやけにリアルなくるくる、きゅーという音が聞こえてきて、アズールは海の方に近づいた。自らからだを半分出した小さな生き物が二匹、ぴたんぴたんとその場でやけに元気に跳ねていた。
――これに声をかけると良いのかな?
アズールはなんだか聞いていた内容と違うな、と頸を傾げつつ、その場でぴょんぴょん跳びはねている二匹のモンスターに近づいた。
「アズール!」
「待ってたんですよ! さあ、行きましょう!」
モンスターはそう言って、アズールのキャラクターにすり寄り、持っていた鞄の中に潜り込んだ。
「でんせつの モンスターを げっとしました」
画面にテロップが浮かび、図鑑に妙な文字化けされたページが追加されたのに気付いた。そうして、それが良く見ると、パッケージに書かれているモンスターである事に気付いたのだ。
「あれ?」
アズールは、このパッケージのモンスターについては少しだけ聞いたことがあるのだ。
確か。
最初に出たシンボル的なゲームが出てからというもの、この手のモンスターと人間が一緒に冒険する、とかモンスターの育成系ゲームはいくつも出ていた。
そんな中で、このゲームは少し違った意味で話題になっていた、という話だ。確か、ニュースでも少しだけ取り上げられていた気がする。
それが、パッケージに書かれているモンスターが全く入手出来ない、というものだ。
でてくると言えば出てくるが、他の同系統のゲームのようにイベントで確保出来るというわけでも無く、ランダムにマップに
現れて大暴れして去って行く、とか、海の中に引きずり込まれて所持品を落としたことになったとか、いわゆるクソゲーのよう
な事が起きるのだ。
決められた手順を踏んで行けば手に入るとか、チーター向けのソフトにしかいないとか、そう言う話も聞いた気がした。
アズールは、もしかして何か違う物を買ってしまっただろうかと、パッケージを見たが、正真正銘ちゃんとした店で買った本物である。
アズールは、まあ良いかと再び画面に向き直り、自分のキャラクター越しに辺りを見渡した。
面白い事に、リュックの中に収まっている二匹のモンスターは、主人公が前を向いている状態だと、リュックから時折頭を出して画面越しのアズールを見ているかのように視線が動き、時々手を振るような仕草をしていた。
「まずは となりのまちへ いってみるといいですよ」
「はやくいこー」
地図に目的地が表示され、アズールはマークを見ながらキャラクターを動かし始め、あ、と気付いて顔を上げた。
「えーっと」
メニューを開いてここまでの出来事を記録する、としたアズールは、電源を切って急いでベッドに横になった。何しろ気が付いたら寝る時間を少しばかり過ぎていたのだ。母にバレたらゲームを取り上げられてしまうだろう。
危なかった、と毛布の中に潜り込んで目を閉じる。
うつらうつらしているアズールの耳元で、なぜか波の音が付かず離れず聞こえてくるようだった。
++++++++++++
夢の中で覚えていないけどリュックに伝説モンスターを入れて走り回るチビアズがいる。
畳む
pkmn的なゲームから飛び出してきた怪異系UTBとアズのイドアズ。続いたら良いな#SS
オコジョアズさん
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