2023年7月の投稿[13件]
2023年7月22日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
#ヤンパリ サマーシーズンパス導入編。
夏なのでヤンパリ達と遊ぶチビアズが思いで作るのも良いかなと思った。
※これは某モンスター育成バトルRPGゲームネタです。それっぽいだけです。
アズールが今旅をしている場所はコーラル地方という場所である。
大陸は高い山脈で隔たれ、奥は深い森が広がっているため、海側で町が発展していった半島である。名前の由来となった珊瑚は、交易品でもあるが、同時に複雑な海岸線と島が織りなす姿が海の中の珊瑚に似ているから地方の名前に成った、らしい。
転校生としてこの地方に来たアズールがその辺りの事を知ったのはごく最近である。
この地方では夏のバカンスシーズンはその特徴的な海岸のおかげで様々な地方から人々がやってくるため、沿岸部は観光客とそれを目当てに商売をしに来た人間達で溢れていた。
アズールの通うアカデミーには、夏休みという物は無い。長期に渡る研修がその期間をまたぐので、出席日数を調整すればいい、という事のようだ。
――大学みたい
ぼんやりとそんな事を考えていたアズールはもぞもぞと動くリュックを押さえ、空飛ぶタクシーで指定された場所へ向かっていたアズールは、眼下に広がるにぎやかなビーチの様子に思わずため息をついた。
ゆっくりと降下してタクシーは街の外れに停止し、アズールは外に出た。
人がいつもよりも多い気がする。
走り回る人々を道路の端で眺め、アズールは辺りを見渡した。
『どうしたの?』
『人混みは嫌いですか』
きゅいきゅいという音の合間にそんな声が聞こえ、アズールが押さえていたリュックの蓋が弾けて二匹のモンスターが顔を出す。
「そういう訳じゃないけど」
ぽん、と外に飛び出した二匹のモンスターはふわふわと漂いながら
「じゃあ早く行こうよー。アズールが言っていたお店屋さんごっこ、早くしよー」
「どんな物を作るか決めてるんですか?」
「うん、デザインは選べないみたいなんだけど」
地図を開き、アズールは方向を頼りに歩き出そうとするが、すぐに二匹に止められた。
「何?」
「帽子!」
「被らないとだめですよ」
「ええ……」
リュックから麦わら帽子を引っ張り出してきたジェイドは、アズールの頭に被せると満足して、ふわふわと先導するように移動した。
「こっちですね」
「なんでお前達が知ってるんだよ」
「そういうものなんだよー」
ふわふわ漂う二匹の後を追いかけ、アズールは石畳のカラフルなメインストリートを通り抜け、少し静かな浜辺の桟橋にたどり着いた。
「……ここ?」
「から、更に海を移動してあの無人島です」
「無人島って、誰も人来ないじゃないか」
「そこを、アズールとオレらで頑張ってぇ、評判良くしたりして客を増やして」
「島のビーチに遊びに来る人達を増やすというのが今回のミッションです」
小さな尾びれをぴちぴちさせながら、二匹は空中で泳ぐようにアズールの前で上下にパタパタと動き、手元の端末を指差した。
「なんでモンスターのお前達がそんなこと出来るんだ……?」
「僕達はアズールの最初のモンスターですから」
「相棒ってやつ。ナビゲートモンスターの役割もあるんだよー」
そう言うものだろうか。
アズールは思った物の、手元の端末を開いてアイコンをタップしながらチカチカと瞬いている「サマーシーズンパス」を表示させた。
ぱん、と画面に紙吹雪が舞い、「アイテムをゲットしました」「期間限定機能がオープンしました」「ミッションが追加されました」と、通知が瞬く間に一気に表示されていき、プレゼントボックス入っていたアイテムを受け取ると、ジェイドとフロイドはぽんと水上モードになって桟橋の脇に飛び降りた。
「さ、アズール。僕の背中に乗ってください」
「えー、この間もジェイドだったじゃん」
「フロイドは気まぐれにひっくり返りそうだから、溺れない場所でしてください」
アズールの一言に、ぷーっと不満げに膨らんだフロイドは、ぱっと小さくなってアズールの腕にしがみついた。
「じゃあオレアズールと一緒に乗る」
「え、自分で泳いでくださいよフロイド」
ジェイドが不満、という様子で尾びれをパタパタとさせるが、良いからさっさとしてくださいとアズールに言われると、しょうがないですね、と海の上を滑るように移動し始めた。
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夏なのでヤンパリ達と遊ぶチビアズが思いで作るのも良いかなと思った。
※これは某モンスター育成バトルRPGゲームネタです。それっぽいだけです。
アズールが今旅をしている場所はコーラル地方という場所である。
大陸は高い山脈で隔たれ、奥は深い森が広がっているため、海側で町が発展していった半島である。名前の由来となった珊瑚は、交易品でもあるが、同時に複雑な海岸線と島が織りなす姿が海の中の珊瑚に似ているから地方の名前に成った、らしい。
転校生としてこの地方に来たアズールがその辺りの事を知ったのはごく最近である。
この地方では夏のバカンスシーズンはその特徴的な海岸のおかげで様々な地方から人々がやってくるため、沿岸部は観光客とそれを目当てに商売をしに来た人間達で溢れていた。
アズールの通うアカデミーには、夏休みという物は無い。長期に渡る研修がその期間をまたぐので、出席日数を調整すればいい、という事のようだ。
――大学みたい
ぼんやりとそんな事を考えていたアズールはもぞもぞと動くリュックを押さえ、空飛ぶタクシーで指定された場所へ向かっていたアズールは、眼下に広がるにぎやかなビーチの様子に思わずため息をついた。
ゆっくりと降下してタクシーは街の外れに停止し、アズールは外に出た。
人がいつもよりも多い気がする。
走り回る人々を道路の端で眺め、アズールは辺りを見渡した。
『どうしたの?』
『人混みは嫌いですか』
きゅいきゅいという音の合間にそんな声が聞こえ、アズールが押さえていたリュックの蓋が弾けて二匹のモンスターが顔を出す。
「そういう訳じゃないけど」
ぽん、と外に飛び出した二匹のモンスターはふわふわと漂いながら
「じゃあ早く行こうよー。アズールが言っていたお店屋さんごっこ、早くしよー」
「どんな物を作るか決めてるんですか?」
「うん、デザインは選べないみたいなんだけど」
地図を開き、アズールは方向を頼りに歩き出そうとするが、すぐに二匹に止められた。
「何?」
「帽子!」
「被らないとだめですよ」
「ええ……」
リュックから麦わら帽子を引っ張り出してきたジェイドは、アズールの頭に被せると満足して、ふわふわと先導するように移動した。
「こっちですね」
「なんでお前達が知ってるんだよ」
「そういうものなんだよー」
ふわふわ漂う二匹の後を追いかけ、アズールは石畳のカラフルなメインストリートを通り抜け、少し静かな浜辺の桟橋にたどり着いた。
「……ここ?」
「から、更に海を移動してあの無人島です」
「無人島って、誰も人来ないじゃないか」
「そこを、アズールとオレらで頑張ってぇ、評判良くしたりして客を増やして」
「島のビーチに遊びに来る人達を増やすというのが今回のミッションです」
小さな尾びれをぴちぴちさせながら、二匹は空中で泳ぐようにアズールの前で上下にパタパタと動き、手元の端末を指差した。
「なんでモンスターのお前達がそんなこと出来るんだ……?」
「僕達はアズールの最初のモンスターですから」
「相棒ってやつ。ナビゲートモンスターの役割もあるんだよー」
そう言うものだろうか。
アズールは思った物の、手元の端末を開いてアイコンをタップしながらチカチカと瞬いている「サマーシーズンパス」を表示させた。
ぱん、と画面に紙吹雪が舞い、「アイテムをゲットしました」「期間限定機能がオープンしました」「ミッションが追加されました」と、通知が瞬く間に一気に表示されていき、プレゼントボックス入っていたアイテムを受け取ると、ジェイドとフロイドはぽんと水上モードになって桟橋の脇に飛び降りた。
「さ、アズール。僕の背中に乗ってください」
「えー、この間もジェイドだったじゃん」
「フロイドは気まぐれにひっくり返りそうだから、溺れない場所でしてください」
アズールの一言に、ぷーっと不満げに膨らんだフロイドは、ぱっと小さくなってアズールの腕にしがみついた。
「じゃあオレアズールと一緒に乗る」
「え、自分で泳いでくださいよフロイド」
ジェイドが不満、という様子で尾びれをパタパタとさせるが、良いからさっさとしてくださいとアズールに言われると、しょうがないですね、と海の上を滑るように移動し始めた。
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2023年7月16日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
#けだまWeekendということで訳ありけだまでイドアズ。
あずえながとイド狼(人狼)のお話
わけありけだまたち
さくさくと雪を踏みしめ、慎重に歩いていた獣は匂いを嗅いで、仲間に告げるように空に向かって遠吠えをあげた。
少しすると木立の向こうから同じような遠吠えが答え、雪を踏むような音と共に姿の似た獣が現れた。
「ごめーん」
「気をつけてくださいね」
二頭だけの群れは、雪の中を並んで歩き、さて困ったと辺りに目をやった。
「何あれ」
「鳥、ですかね」
二頭の狼は、そっとそれに目を向け近寄った。
雪の上にぽつんと黒いものが突き出ていて、彼らはすんすんとそれに鼻を近づけ、前足で小突いた。
「びぎゅー!!」
ぼん、と雪玉が飛び出し、顔を近づけていた一頭の顎を直撃し、雪玉はひゅんひゅんと二頭の上を弾けるように飛び跳ねた。
「うわーびっくりしたぁ」
「大丈夫ですかフロイド」
大して心配していないらしいうなり声をあげ、様子を見ていたもう一頭は跳ね回る白い球をじっと見つめ、えい、とタイミング良く口で引っかけた。
「離しなさいこのけだもの!」
どうやら尾羽を歯の先で引っかけられたらしい。フロイドと呼ばれた方はスンスンと顔を近づけ、ええ、と呟いた。
「何ソレジェイド。鳥ー? こんなやつ見たこと無いけど」
「そうです? 僕よく見えないんですけど」
「別に食べたりしねーから暴れるのやめてくんね」
「本当でしょうね」
「いや、こんなちっちゃいの食べてもお腹いっぱいにならないし」
「ただ暴れられるとうっかりこのままぱくっと」
「ぴぎゅ」
気のせいか、フロイドが見ているとひゅっとからだが縦に縮んだようにみえた白い鳥は、ジェイドが緩めた歯の隙間から尾羽を引っ張りだし、その勢いのまま雪の中をコロコロと転がった。
「酷い目に遭った」
羽根をパタパタと震わせ、ぴょんと飛び上がったそれを前に、二頭は顔を見合わせた。
似たような鳥を見た事はあるが、やはりここまで真っ白なのは見たことが無い。
「なんであんな何にもねえところで転がってたの」
「なんでって」
ちき、と小さくさえずり、その鳥はキョロキョロと辺りを見渡し、瞬きをして頭をぐっと捻った。
「……ここはどこです?」
「えー……」
「おやおや」
ぴょんぴょんと跳ねる白いけだまは、ジェイドとフロイドの頭の上にどうにかよいしょと勝手によじ登り、ちゅりちゅりと鳴き声を上げて二頭の頭の上を交互に跳ねた。
「もしかして迷子ですか」
「いえ、そういう訳では。元々は林の中にいて……それから」
ちい、と小さなさえずりのあと、小鳥はフロイドの額の上にもふっと座り込み、ため息のようなさえずりをした。
事情があるのか、何か思い出したくないことでもあるのか、黙りこんだ小鳥に、二頭は目を合わせて小さく頷いた。
「まあ何でもいいけど。オレ達だって群れから追い出されたしねぇ」
「まあ、そうですね。小鳥さん、しばらく僕らと一緒に居てみませんか」
「小鳥じゃありません。アズールという立派な名前があります」
ふっと胸を反らせてふわふわのからだを膨らませたアズールに、ジェイドとフロイドはおやおやと眉を寄せた。
「そうですか。まあ気が向いたら覚えるかもしれませんね」
「そうだねー。あーあ腹減ったジェイドー」
「ああ、肉なら……僕はそっちから多分とん出来たと思うんですが……。別の生き物が狩りをしていたのを見ましたよ」
羽根で指し示した方向に顔を向け、二頭は顔を合わせてぐるぐると機嫌良く唸り
「それじゃ、今はあらかた勝負着いただろうし、横取りでもしよっかぁ」
「そうですね。両方頂けるかもしれませんし」
「良い心がけですね!」
パタパタと再び元気になったアズールは、ジェイドの方に移動してぴょんぴょんと跳ね、
「とはいえ、二頭だけのお前達と、相手はどちらも相手取るなら四頭を相手にしなければなりませんからね。空からかっさらうものもいるでしょうし、気を抜ける訳じゃありませんよ」
ちきちきと小鳥がいう事に、ジェイドとフロイドは思わずこれが小鳥の考える事か? と顔をしかめた。小鳥と会話したことが無いので解らないが、もう少し違う事を言う物じゃないだろうか。
「しかし、そう言われてみるとそうですね」
「森の中に引き寄せた方が良いかもしんないって事?」
「それなら、僕は木の上から様子を見ていられるから僕と組むとお得ですね」
素晴らしいでしょう、と更に胸を膨らませたアズールに、二頭はまあそうか、と納得してうん、と頷いた。その動きで、コロコロと雪原に転がったアズールは、ぴちぴちと不満を口にしつつ、今度はフロイドの背中に移動した。
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あずえながとイド狼(人狼)のお話
わけありけだまたち
さくさくと雪を踏みしめ、慎重に歩いていた獣は匂いを嗅いで、仲間に告げるように空に向かって遠吠えをあげた。
少しすると木立の向こうから同じような遠吠えが答え、雪を踏むような音と共に姿の似た獣が現れた。
「ごめーん」
「気をつけてくださいね」
二頭だけの群れは、雪の中を並んで歩き、さて困ったと辺りに目をやった。
「何あれ」
「鳥、ですかね」
二頭の狼は、そっとそれに目を向け近寄った。
雪の上にぽつんと黒いものが突き出ていて、彼らはすんすんとそれに鼻を近づけ、前足で小突いた。
「びぎゅー!!」
ぼん、と雪玉が飛び出し、顔を近づけていた一頭の顎を直撃し、雪玉はひゅんひゅんと二頭の上を弾けるように飛び跳ねた。
「うわーびっくりしたぁ」
「大丈夫ですかフロイド」
大して心配していないらしいうなり声をあげ、様子を見ていたもう一頭は跳ね回る白い球をじっと見つめ、えい、とタイミング良く口で引っかけた。
「離しなさいこのけだもの!」
どうやら尾羽を歯の先で引っかけられたらしい。フロイドと呼ばれた方はスンスンと顔を近づけ、ええ、と呟いた。
「何ソレジェイド。鳥ー? こんなやつ見たこと無いけど」
「そうです? 僕よく見えないんですけど」
「別に食べたりしねーから暴れるのやめてくんね」
「本当でしょうね」
「いや、こんなちっちゃいの食べてもお腹いっぱいにならないし」
「ただ暴れられるとうっかりこのままぱくっと」
「ぴぎゅ」
気のせいか、フロイドが見ているとひゅっとからだが縦に縮んだようにみえた白い鳥は、ジェイドが緩めた歯の隙間から尾羽を引っ張りだし、その勢いのまま雪の中をコロコロと転がった。
「酷い目に遭った」
羽根をパタパタと震わせ、ぴょんと飛び上がったそれを前に、二頭は顔を見合わせた。
似たような鳥を見た事はあるが、やはりここまで真っ白なのは見たことが無い。
「なんであんな何にもねえところで転がってたの」
「なんでって」
ちき、と小さくさえずり、その鳥はキョロキョロと辺りを見渡し、瞬きをして頭をぐっと捻った。
「……ここはどこです?」
「えー……」
「おやおや」
ぴょんぴょんと跳ねる白いけだまは、ジェイドとフロイドの頭の上にどうにかよいしょと勝手によじ登り、ちゅりちゅりと鳴き声を上げて二頭の頭の上を交互に跳ねた。
「もしかして迷子ですか」
「いえ、そういう訳では。元々は林の中にいて……それから」
ちい、と小さなさえずりのあと、小鳥はフロイドの額の上にもふっと座り込み、ため息のようなさえずりをした。
事情があるのか、何か思い出したくないことでもあるのか、黙りこんだ小鳥に、二頭は目を合わせて小さく頷いた。
「まあ何でもいいけど。オレ達だって群れから追い出されたしねぇ」
「まあ、そうですね。小鳥さん、しばらく僕らと一緒に居てみませんか」
「小鳥じゃありません。アズールという立派な名前があります」
ふっと胸を反らせてふわふわのからだを膨らませたアズールに、ジェイドとフロイドはおやおやと眉を寄せた。
「そうですか。まあ気が向いたら覚えるかもしれませんね」
「そうだねー。あーあ腹減ったジェイドー」
「ああ、肉なら……僕はそっちから多分とん出来たと思うんですが……。別の生き物が狩りをしていたのを見ましたよ」
羽根で指し示した方向に顔を向け、二頭は顔を合わせてぐるぐると機嫌良く唸り
「それじゃ、今はあらかた勝負着いただろうし、横取りでもしよっかぁ」
「そうですね。両方頂けるかもしれませんし」
「良い心がけですね!」
パタパタと再び元気になったアズールは、ジェイドの方に移動してぴょんぴょんと跳ね、
「とはいえ、二頭だけのお前達と、相手はどちらも相手取るなら四頭を相手にしなければなりませんからね。空からかっさらうものもいるでしょうし、気を抜ける訳じゃありませんよ」
ちきちきと小鳥がいう事に、ジェイドとフロイドは思わずこれが小鳥の考える事か? と顔をしかめた。小鳥と会話したことが無いので解らないが、もう少し違う事を言う物じゃないだろうか。
「しかし、そう言われてみるとそうですね」
「森の中に引き寄せた方が良いかもしんないって事?」
「それなら、僕は木の上から様子を見ていられるから僕と組むとお得ですね」
素晴らしいでしょう、と更に胸を膨らませたアズールに、二頭はまあそうか、と納得してうん、と頷いた。その動きで、コロコロと雪原に転がったアズールは、ぴちぴちと不満を口にしつつ、今度はフロイドの背中に移動した。
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#告知
6月の新刊冊子の追納を申請してきました。7月末くらいに納品される予定です。
とらさんへの追納申請も通ったので、もしかしたらまた注文出来るようになっているかもしれません。
https://ecs.toranoana.jp/joshi/ec/item/0...
6月の新刊冊子の追納を申請してきました。7月末くらいに納品される予定です。
とらさんへの追納申請も通ったので、もしかしたらまた注文出来るようになっているかもしれません。
https://ecs.toranoana.jp/joshi/ec/item/0...
2023年7月7日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
#告知
6月の新刊の冊子のみをとらさんに一旦在庫分登録しました。がすぐに消えました。
追加分は事前アンケ分は用意する予定ですが、アンケ答えてなくてやっぱほしいなーな人は再版希望入れておいてくれると助かります。
https://ecs.toranoana.jp/joshi/ec/item/0...
6月の新刊の冊子のみをとらさんに一旦在庫分登録しました。がすぐに消えました。
追加分は事前アンケ分は用意する予定ですが、アンケ答えてなくてやっぱほしいなーな人は再版希望入れておいてくれると助かります。
https://ecs.toranoana.jp/joshi/ec/item/0...
#告知
再版チャレンジ10日までなので、よろしければ。
書き下ろし短いの一つ入ってます。本編はWebで見られます。
https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/...
再版チャレンジ10日までなので、よろしければ。
書き下ろし短いの一つ入ってます。本編はWebで見られます。
https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/...
2023年7月2日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
#ヤンパリ 風なゲーム世界のモンスターイドとアズのかわいいお話。ゲームプレイ編2
書いていれば具現化するかもしれないという欲
ピクニックとモンスター
「なあ、あのモンスター手に入った?」
「ああ、あれ?」
――あ
耳に飛び込んできた声に、アズールは思わず視線をさまよわせた。
放課後の廊下で、知っているような、知らないような声が盛んにゲームの攻略について会話をしているようだ。立ち止まって振り返ってみるが、固まって歩いている子供達の中、誰がその話をしているかは分からなかった。
そもそも、声をかけたところでアズールとまともに会話などしてくれるか。
「……」
そこまで思い至り、アズールは前を向いて歩き出した。
家に帰り、アズールはいつものように帰ってすぐの宿題と勉強をして、母が用意していった夕食を温めて食べ、一人でシャワーを浴びて部屋に戻った。
静かな家の中を歩き、自分の部屋に戻ってアズールはゲーム機に手を伸ばした。
この間のテストの成績もそこそこ良くなってきていたおかげか、わずかに自信がついたアズールは、ちょっとだけなら大丈夫だろうと時計を見ながら、昨日の続きから始めようと画面を開いた。
――えーっと、昨日は確か……
アズールはセーブを呼び出し、昨日の続きから始めることにした。
画面には街へと移動する為の街道と、そのすぐ脇にある休憩ポイントが見えた。ここでチュートリアルを聞いてセーブをしたのだったか。アズールは思い出して、キャラクターを操作して歩き出した。
「あ、アズール帰ってきたー」
「おそーい」
閉じられたリュックの蓋が勢いよく開いて、ぽんとボールから出る効果音と共に二匹のモンスターがアズールの前に現れた。
魚とは少し違う尾びれに、そっくりな見た目の二匹だったが、最近よく見ているせいか二匹の違いがよくわかってきた。
「おなかがすきました」
つるりとしたおなかを押さえ、ぎゅうぎゅうとアピールをしてくるのは、少しばかりつり目のモンスターで、何故か既に名前が付いていた。
「ジェイドは食いしん坊ですね」
「ぎゅう」
「ねえねえ早くー」
しょぼくれたジェイドの脇で、ジェイドと似た、こちらは垂れ目のモンスターがぴょんぴょんとアズールの周りを跳ね回り早く早くと急き立てる。
「フロイド、ちょっと待ってください。少し先でピクニックをしましょう」
アズールがそう言って走り出すと、二匹は後を追ってどういう理屈かぴょんぴょんと跳ねてアズールの後を付いてきた。
マップにはいくつか他のモンスターの影が見え、アズールは今度こそどれか捕まえようかなと捕獲用のアイテムの数を確認した。
「おらどけ!」
「邪魔ですよ」
「え」
ばしんばちんと勝手に二匹のモンスターがマップ上で動き回る他のモンスターに飛びかかり、アイテムがボロボロと落ちていく、ついでに経験値もどんどん溜っていき、少し走るだけであっという間に二匹のレベルが三回ほど上がってファンファーレが鳴り響いた。
「あー! またモンスター全部いなくなった!」
思わず叫んだアズールに、何故か二匹はその場にコロリと転がり、何のこと? というようにぴちぴちと尾びれを振った。
「ぎゅー?」
「くるー?」
画面の向こうの二匹に、アズールはため息をついてもう一度説明所に目を通した。
「はあ……」
何度読んでもオートバトルの設定は切っているはずなのに、何故か二匹は勝手に飛び出していってマップに存在するモンスターを全てなぎ倒してしまう。
これでは別のモンスターを捕まえる事は無理ではないだろうか。
新しいモンスターがいれば通信交換という手もあるが、二匹のどちらかを手放すというのはいやだった。
「まあいいや」
しょうが無いとアズールはレベルがどんどん上がっていく二匹を眺め、先にさっさと進めるか、と街道を道なりに進んで少し開けた場所に移動した。
ここなら良いだろうと、メニューを開いてピクニック道具を展開する。
まだあまりカスタマイズはしていないが、好きな色と、二匹のカラーに合わせたカップや皿が並び、おやつを作るミニゲームをしようとテーブルに立ったアズールの両脇に、顔を出した。
コミカルな音楽と共に具材を並べて慎重にデコレーションをして完成させると、二匹がぴょんぴょんと両手を叩いて喜び、ガツガツと食べ始める。
「えーっと、ピクニックではなつき度が上がるんだっけ」
アズールが眺めていると、おやつを食べ終えた二匹はぽわぽわとハートマークが飛び、画面に向かってぴょんぴょん跳ね飛び手を振った。
「ふふ」
思わず笑みを浮かべたアズールは、ちかちかと通信が光り、誰かが一緒にピクニックをしようと申請をしてきたのに気付いた。何しろ初めてのことだったアズールは、慌てて説明所に目を通そうとして画面から目を一瞬離した。
「えーっと、ピクニックを一緒にする場合は……?」
ぴこん、と音がして、何だろうと視線を戻すと、先ほどまで機嫌が良かった二匹がくったりと地面に伸びて不満そうな顔でピクニックに誘ってきたどこかのプレイヤーを眺めていた。
なつき度が低いとそういう事もあるのだろうか。
シャーシャーぐるるると威嚇する二匹に、アズールはうーんと困って思わず申請を断るボタンを押し、ため息をついた。どこかのプレイヤーのアイコンがぱっと消えると、二匹は再び機嫌良く飛び跳ね、アズールのキャラの周りをくるくると走り始めた。
「ボール遊びする?」
アイテム欄からボールを取り出すと、二匹はきゅうきゅうと両手を叩いて喜び、アズールはわずかにほっとしてボールを放り投げた。
ぽてぽてと取りにいって戻ってくる二匹を眺め、アズールはこのゲームってこういうものだっけ? と首を傾げていた。
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書いていれば具現化するかもしれないという欲
ピクニックとモンスター
「なあ、あのモンスター手に入った?」
「ああ、あれ?」
――あ
耳に飛び込んできた声に、アズールは思わず視線をさまよわせた。
放課後の廊下で、知っているような、知らないような声が盛んにゲームの攻略について会話をしているようだ。立ち止まって振り返ってみるが、固まって歩いている子供達の中、誰がその話をしているかは分からなかった。
そもそも、声をかけたところでアズールとまともに会話などしてくれるか。
「……」
そこまで思い至り、アズールは前を向いて歩き出した。
家に帰り、アズールはいつものように帰ってすぐの宿題と勉強をして、母が用意していった夕食を温めて食べ、一人でシャワーを浴びて部屋に戻った。
静かな家の中を歩き、自分の部屋に戻ってアズールはゲーム機に手を伸ばした。
この間のテストの成績もそこそこ良くなってきていたおかげか、わずかに自信がついたアズールは、ちょっとだけなら大丈夫だろうと時計を見ながら、昨日の続きから始めようと画面を開いた。
――えーっと、昨日は確か……
アズールはセーブを呼び出し、昨日の続きから始めることにした。
画面には街へと移動する為の街道と、そのすぐ脇にある休憩ポイントが見えた。ここでチュートリアルを聞いてセーブをしたのだったか。アズールは思い出して、キャラクターを操作して歩き出した。
「あ、アズール帰ってきたー」
「おそーい」
閉じられたリュックの蓋が勢いよく開いて、ぽんとボールから出る効果音と共に二匹のモンスターがアズールの前に現れた。
魚とは少し違う尾びれに、そっくりな見た目の二匹だったが、最近よく見ているせいか二匹の違いがよくわかってきた。
「おなかがすきました」
つるりとしたおなかを押さえ、ぎゅうぎゅうとアピールをしてくるのは、少しばかりつり目のモンスターで、何故か既に名前が付いていた。
「ジェイドは食いしん坊ですね」
「ぎゅう」
「ねえねえ早くー」
しょぼくれたジェイドの脇で、ジェイドと似た、こちらは垂れ目のモンスターがぴょんぴょんとアズールの周りを跳ね回り早く早くと急き立てる。
「フロイド、ちょっと待ってください。少し先でピクニックをしましょう」
アズールがそう言って走り出すと、二匹は後を追ってどういう理屈かぴょんぴょんと跳ねてアズールの後を付いてきた。
マップにはいくつか他のモンスターの影が見え、アズールは今度こそどれか捕まえようかなと捕獲用のアイテムの数を確認した。
「おらどけ!」
「邪魔ですよ」
「え」
ばしんばちんと勝手に二匹のモンスターがマップ上で動き回る他のモンスターに飛びかかり、アイテムがボロボロと落ちていく、ついでに経験値もどんどん溜っていき、少し走るだけであっという間に二匹のレベルが三回ほど上がってファンファーレが鳴り響いた。
「あー! またモンスター全部いなくなった!」
思わず叫んだアズールに、何故か二匹はその場にコロリと転がり、何のこと? というようにぴちぴちと尾びれを振った。
「ぎゅー?」
「くるー?」
画面の向こうの二匹に、アズールはため息をついてもう一度説明所に目を通した。
「はあ……」
何度読んでもオートバトルの設定は切っているはずなのに、何故か二匹は勝手に飛び出していってマップに存在するモンスターを全てなぎ倒してしまう。
これでは別のモンスターを捕まえる事は無理ではないだろうか。
新しいモンスターがいれば通信交換という手もあるが、二匹のどちらかを手放すというのはいやだった。
「まあいいや」
しょうが無いとアズールはレベルがどんどん上がっていく二匹を眺め、先にさっさと進めるか、と街道を道なりに進んで少し開けた場所に移動した。
ここなら良いだろうと、メニューを開いてピクニック道具を展開する。
まだあまりカスタマイズはしていないが、好きな色と、二匹のカラーに合わせたカップや皿が並び、おやつを作るミニゲームをしようとテーブルに立ったアズールの両脇に、顔を出した。
コミカルな音楽と共に具材を並べて慎重にデコレーションをして完成させると、二匹がぴょんぴょんと両手を叩いて喜び、ガツガツと食べ始める。
「えーっと、ピクニックではなつき度が上がるんだっけ」
アズールが眺めていると、おやつを食べ終えた二匹はぽわぽわとハートマークが飛び、画面に向かってぴょんぴょん跳ね飛び手を振った。
「ふふ」
思わず笑みを浮かべたアズールは、ちかちかと通信が光り、誰かが一緒にピクニックをしようと申請をしてきたのに気付いた。何しろ初めてのことだったアズールは、慌てて説明所に目を通そうとして画面から目を一瞬離した。
「えーっと、ピクニックを一緒にする場合は……?」
ぴこん、と音がして、何だろうと視線を戻すと、先ほどまで機嫌が良かった二匹がくったりと地面に伸びて不満そうな顔でピクニックに誘ってきたどこかのプレイヤーを眺めていた。
なつき度が低いとそういう事もあるのだろうか。
シャーシャーぐるるると威嚇する二匹に、アズールはうーんと困って思わず申請を断るボタンを押し、ため息をついた。どこかのプレイヤーのアイコンがぱっと消えると、二匹は再び機嫌良く飛び跳ね、アズールのキャラの周りをくるくると走り始めた。
「ボール遊びする?」
アイテム欄からボールを取り出すと、二匹はきゅうきゅうと両手を叩いて喜び、アズールはわずかにほっとしてボールを放り投げた。
ぽてぽてと取りにいって戻ってくる二匹を眺め、アズールはこのゲームってこういうものだっけ? と首を傾げていた。
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#冊子情報
再版チャレンジのお知らせ
去年の10月に出した冊子を再版しようかなと思ってます。Twitterがあの状態なのでこちらでもご案内します。
https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/...
再版チャレンジのお知らせ
去年の10月に出した冊子を再版しようかなと思ってます。Twitterがあの状態なのでこちらでもご案内します。
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ビデオテープブックセットでどうにかジャケット裏表仕様にしてヤンパリの攻略本(ウスイホン)具現化したいね
Twitter風スキンにしてみたけどこの方が見やすいかな
2023年7月1日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
ヤンパリな本光と闇で分冊にするの楽しそう
テキスト形式で公開出来るかの確認もかねて。
#ヤンパリ 風のゲームの中の怪異イドが現実に出てアズと暮らす話。
ゲームプレイ編。
アズールがそのゲームを買ったのは発売から半年ほど経った頃だった。
旅に出た少年がモンスターを捕まえて強くしていき、バトルをしながらストーリーを進めるというタイプのもので、それ自体は最初にかなり話題になったゲームが先に出ていた、いわゆる後追いタイプのものだった。
それでも、それは教室の子供達が持って遊んでいたし、交換も盛んだった。
猛勉強していた最中のアズールでも少し気になって、誕生日のプレゼントで母にお願いして買って貰ったのだ。
その日の勉強を終え、寝る前の時間に少しだけやろうと、アズールはようやっとパッケージを開けた。
ゲームの電源を入れ、オープニングムービーに水の中を泳いでいる長い尾びれ、やけに鮮明なくるくるとイルカなどの鳴き声が聞こえてから、ぱっと名前の入力欄が表示された。
「えっと、名前……」
名前を入れ、キャラクターの顔を何となく自分の顔に似せて作ってから、アズールはクラスメイトの会話から聞こえてきた、自分の部屋からスタートするのを待った。
名前とキャラクター設定が完了すると、画面が一瞬ぶつん、と音がして、真っ暗になると、波の音が聞こえてきた。
ゆっくりと画面が明るくなり、ゆらゆらとどうやら水の中らしい描写と水の音がして、メッセージが表示される画面に文字がカタカタと浮かんでくる。
「やっとみつけた」
ばつ、と再び画面が黒くなり、アズールは何だったんだろうと眺めていると、浜辺に自分のキャラクターが立っている場面に切り替わっていた。
操作をしようとすると、再びやけにリアルなくるくる、きゅーという音が聞こえてきて、アズールは海の方に近づいた。自らからだを半分出した小さな生き物が二匹、ぴたんぴたんとその場でやけに元気に跳ねていた。
――これに声をかけると良いのかな?
アズールはなんだか聞いていた内容と違うな、と頸を傾げつつ、その場でぴょんぴょん跳びはねている二匹のモンスターに近づいた。
「アズール!」
「待ってたんですよ! さあ、行きましょう!」
モンスターはそう言って、アズールのキャラクターにすり寄り、持っていた鞄の中に潜り込んだ。
「でんせつの モンスターを げっとしました」
画面にテロップが浮かび、図鑑に妙な文字化けされたページが追加されたのに気付いた。そうして、それが良く見ると、パッケージに書かれているモンスターである事に気付いたのだ。
「あれ?」
アズールは、このパッケージのモンスターについては少しだけ聞いたことがあるのだ。
確か。
最初に出たシンボル的なゲームが出てからというもの、この手のモンスターと人間が一緒に冒険する、とかモンスターの育成系ゲームはいくつも出ていた。
そんな中で、このゲームは少し違った意味で話題になっていた、という話だ。確か、ニュースでも少しだけ取り上げられていた気がする。
それが、パッケージに書かれているモンスターが全く入手出来ない、というものだ。
でてくると言えば出てくるが、他の同系統のゲームのようにイベントで確保出来るというわけでも無く、ランダムにマップに
現れて大暴れして去って行く、とか、海の中に引きずり込まれて所持品を落としたことになったとか、いわゆるクソゲーのよう
な事が起きるのだ。
決められた手順を踏んで行けば手に入るとか、チーター向けのソフトにしかいないとか、そう言う話も聞いた気がした。
アズールは、もしかして何か違う物を買ってしまっただろうかと、パッケージを見たが、正真正銘ちゃんとした店で買った本物である。
アズールは、まあ良いかと再び画面に向き直り、自分のキャラクター越しに辺りを見渡した。
面白い事に、リュックの中に収まっている二匹のモンスターは、主人公が前を向いている状態だと、リュックから時折頭を出して画面越しのアズールを見ているかのように視線が動き、時々手を振るような仕草をしていた。
「まずは となりのまちへ いってみるといいですよ」
「はやくいこー」
地図に目的地が表示され、アズールはマークを見ながらキャラクターを動かし始め、あ、と気付いて顔を上げた。
「えーっと」
メニューを開いてここまでの出来事を記録する、としたアズールは、電源を切って急いでベッドに横になった。何しろ気が付いたら寝る時間を少しばかり過ぎていたのだ。母にバレたらゲームを取り上げられてしまうだろう。
危なかった、と毛布の中に潜り込んで目を閉じる。
うつらうつらしているアズールの耳元で、なぜか波の音が付かず離れず聞こえてくるようだった。
++++++++++++
夢の中で覚えていないけどリュックに伝説モンスターを入れて走り回るチビアズがいる。
畳む
#ヤンパリ 風のゲームの中の怪異イドが現実に出てアズと暮らす話。
ゲームプレイ編。
アズールがそのゲームを買ったのは発売から半年ほど経った頃だった。
旅に出た少年がモンスターを捕まえて強くしていき、バトルをしながらストーリーを進めるというタイプのもので、それ自体は最初にかなり話題になったゲームが先に出ていた、いわゆる後追いタイプのものだった。
それでも、それは教室の子供達が持って遊んでいたし、交換も盛んだった。
猛勉強していた最中のアズールでも少し気になって、誕生日のプレゼントで母にお願いして買って貰ったのだ。
その日の勉強を終え、寝る前の時間に少しだけやろうと、アズールはようやっとパッケージを開けた。
ゲームの電源を入れ、オープニングムービーに水の中を泳いでいる長い尾びれ、やけに鮮明なくるくるとイルカなどの鳴き声が聞こえてから、ぱっと名前の入力欄が表示された。
「えっと、名前……」
名前を入れ、キャラクターの顔を何となく自分の顔に似せて作ってから、アズールはクラスメイトの会話から聞こえてきた、自分の部屋からスタートするのを待った。
名前とキャラクター設定が完了すると、画面が一瞬ぶつん、と音がして、真っ暗になると、波の音が聞こえてきた。
ゆっくりと画面が明るくなり、ゆらゆらとどうやら水の中らしい描写と水の音がして、メッセージが表示される画面に文字がカタカタと浮かんでくる。
「やっとみつけた」
ばつ、と再び画面が黒くなり、アズールは何だったんだろうと眺めていると、浜辺に自分のキャラクターが立っている場面に切り替わっていた。
操作をしようとすると、再びやけにリアルなくるくる、きゅーという音が聞こえてきて、アズールは海の方に近づいた。自らからだを半分出した小さな生き物が二匹、ぴたんぴたんとその場でやけに元気に跳ねていた。
――これに声をかけると良いのかな?
アズールはなんだか聞いていた内容と違うな、と頸を傾げつつ、その場でぴょんぴょん跳びはねている二匹のモンスターに近づいた。
「アズール!」
「待ってたんですよ! さあ、行きましょう!」
モンスターはそう言って、アズールのキャラクターにすり寄り、持っていた鞄の中に潜り込んだ。
「でんせつの モンスターを げっとしました」
画面にテロップが浮かび、図鑑に妙な文字化けされたページが追加されたのに気付いた。そうして、それが良く見ると、パッケージに書かれているモンスターである事に気付いたのだ。
「あれ?」
アズールは、このパッケージのモンスターについては少しだけ聞いたことがあるのだ。
確か。
最初に出たシンボル的なゲームが出てからというもの、この手のモンスターと人間が一緒に冒険する、とかモンスターの育成系ゲームはいくつも出ていた。
そんな中で、このゲームは少し違った意味で話題になっていた、という話だ。確か、ニュースでも少しだけ取り上げられていた気がする。
それが、パッケージに書かれているモンスターが全く入手出来ない、というものだ。
でてくると言えば出てくるが、他の同系統のゲームのようにイベントで確保出来るというわけでも無く、ランダムにマップに
現れて大暴れして去って行く、とか、海の中に引きずり込まれて所持品を落としたことになったとか、いわゆるクソゲーのよう
な事が起きるのだ。
決められた手順を踏んで行けば手に入るとか、チーター向けのソフトにしかいないとか、そう言う話も聞いた気がした。
アズールは、もしかして何か違う物を買ってしまっただろうかと、パッケージを見たが、正真正銘ちゃんとした店で買った本物である。
アズールは、まあ良いかと再び画面に向き直り、自分のキャラクター越しに辺りを見渡した。
面白い事に、リュックの中に収まっている二匹のモンスターは、主人公が前を向いている状態だと、リュックから時折頭を出して画面越しのアズールを見ているかのように視線が動き、時々手を振るような仕草をしていた。
「まずは となりのまちへ いってみるといいですよ」
「はやくいこー」
地図に目的地が表示され、アズールはマークを見ながらキャラクターを動かし始め、あ、と気付いて顔を上げた。
「えーっと」
メニューを開いてここまでの出来事を記録する、としたアズールは、電源を切って急いでベッドに横になった。何しろ気が付いたら寝る時間を少しばかり過ぎていたのだ。母にバレたらゲームを取り上げられてしまうだろう。
危なかった、と毛布の中に潜り込んで目を閉じる。
うつらうつらしているアズールの耳元で、なぜか波の音が付かず離れず聞こえてくるようだった。
++++++++++++
夢の中で覚えていないけどリュックに伝説モンスターを入れて走り回るチビアズがいる。
畳む
Fantiaにイドアズのすけべパロ話を書いたのでメモ
19世紀末くらいの英国で娼館で働いていたショタイドを引き取ったアズがお世話されちゃうお話。趣味。
#小説
19世紀末くらいの英国で娼館で働いていたショタイドを引き取ったアズがお世話されちゃうお話。趣味。
#小説
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